なぜ副業の会社員に「事業用の住所」の話が出てくるのか
ネット上で継続的・反復的に物やサービスを売ると、特定商取引法の「通信販売」に当たり、販売者の氏名・住所・電話番号などを表示することが求められる場合があります。個人の副業でも、事業として販売するなら対象になり得ます。
ここで会社員が立ち止まるのが住所です。表示するのは「現に活動している住所」ですが、副業の場合それは多くの人にとって自宅です。自宅の住所を、商品ページを開いた不特定多数の人が見られる場所に公開することになります。
この解き方の一つが、住所貸し(バーチャルオフィス)です。事業用の住所を借りて、そちらを表示に使います。郵便物の受け取りや転送、電話番号の貸し出しまで含むサービスもあります。
販売プラットフォームによっては、事業者の住所・電話番号を非公開にしたり、プラットフォーム側の連絡先で代替できる仕組みを用意している場合があります。自分が売る場所の仕様を先に確認してください。それで足りるなら、住所貸しの費用は不要です。
また、表示の要否や書き方は販売の形態によって変わります。本記事は法的助言ではありません。最終的な判断は消費者庁の公式情報(特定商取引法ガイド「通信販売」)や専門家への確認をもとに行ってください。
選ぶ基準は5つ
住所貸しを比べるときに見る基準です。上から順に見ます。
- 特商法の表記に使えるか — 借りた住所を特定商取引法に基づく表記へ掲載してよいと、サービス側が認めているか。ここが不可なら、他の条件が良くても候補から外れます。
- 電話番号の有無 — 表記には電話番号も求められる場合があります。住所だけのプランか、電話番号も借りられるかを分けて見ます。
- 着信を受けられるか・転送されるか — 番号があっても、かかってきた電話が自分に届かなければ連絡先として機能しません。発信専用や取次だけの番号もあるので、着信と転送の仕組み・転送料金を確認します。
- 料金は「1年総額」で見る — 初期費用+月額×12か月で比べます。月額の安さだけで比べると、初期費用や支払い方法の条件(一年払い限定など)を見落とします。
- 解約条件 — 最低契約期間と、途中でやめるときの精算。加えて、解約すると借りていた住所が使えなくなるため、公開中の表記をすべて書き換える手間が発生します。やめるときのことまで見ておきます。
候補の比較(2026年8月時点)
比べたのは、次の3つです。数字はすべて2026年8月時点のもので、料金・条件・キャンペーンは変わります。契約前に必ず各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。
| サービス | 特商法の表記に使えるか | 料金の目安(2026年8月時点) | 1年総額の目安 | 電話 | 住所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 和文化推進協会 (副業・起業支援プラン) |
未確認 ※公式へ要確認 |
副業・起業支援プラン 月額0円 朱雀なえもんプラン 月額500円(税別) ※公式サービスサイトで確認(2026年8月24日)。協会年会費が別途かかるかは未確認 |
未確認 ※プランと年会費の扱いにより0円〜6,000円+税。契約前に要問い合わせ |
共有電話番号あり。着信は運営が録音し、LINEで転送(集合ダイヤル形式) ※2026年8月24日 公式確認。特商法の連絡先として足りるかは要確認 |
京都 |
| レゾナンス | 可 ※公式サイトに「お貸出する住所や電話番号は特定商取引法にも記載いただけます」と明記(2026年8月24日確認) |
ネットショップ住所貸しプラン 月550円 バーチャルオフィスコース 月990円 ※別途 入会金5,500円(2026年8月23日 公式確認)。550円・990円・5,500円とも公式料金ページに税込/税別の明記なし=税の扱いは公式で要確認(2026年8月27日 料金ページ確認) |
12,100円 ※住所貸しプラン 550円×12+入会金5,500円(税の扱いは公式で要確認)。公式に入会金0円のキャンペーン表示あり(2026年8月24日時点。対象プラン・適用条件は公式で確認) |
電話転送などのオプションあり ※詳細は公式で確認 |
東京・横浜・大阪(梅田) ※2026年8月24日 公式確認(東京10店舗・横浜・大阪梅田) |
| GMOオフィスサポート | 未確認 ※公式へ要確認 |
転送なしプラン 月660円 ※2026年8月24日 公式確認。入会金0円・保証金0円。660円は公式料金ページに税込/税別の明記なし=税の扱いは公式で要確認(2026年8月27日 料金ページ確認。同ページの郵便物転送料金は「税込」表記あり) |
2年目以降 7,920円(660円×12・税の扱いは公式で要確認) ※初年度は割引特典の表示があるが、適用条件を公式料金ページで確認できず未確認(2026年8月24日時点)。「料金の改定を予定」の記載もあるため、契約前に必ず公式で確認 |
プランによる ※詳細は公式で確認 |
複数拠点 ※対応拠点は公式で確認 |
それぞれの中身と、向かない人
和文化推進協会(副業・起業支援プラン)
調べて分かったこと
- 非営利の一般社団法人が運営。公式サービスサイトでは、月額0円の「副業・起業支援プラン」と、月額500円(税別・年6,000円)の「朱雀なえもんプラン」が確認できました(2026年8月24日)。プランの違いと、協会年会費が別途かかるかは、契約前の要確認事項です。
- 「0円」は無条件ではありません。年1回以上、協会の士業会員による経営支援を受けることが条件です。
- 公開情報を見た範囲では、費用は安い部類に入ります。ただし1年総額はプランと年会費の扱いにより変わるため、契約前に必ず確認してください。
- 電話は、公式サービスサイトで「共有電話番号への着信を運営が録音し、LINEで転送する仕組み(集合ダイヤル形式)」を確認できました(2026年8月24日)。この共有番号を特定商取引法の表記の電話番号として使えるか(専用番号の可否を含む)は、公式ページの記載だけでは分からず、契約前に運営へ直接確認する必要があります。
出典:一般社団法人和文化推進協会 公式サイト(suzaku.or.jp)/朱雀スタジオ公式サービスサイト(studio.suzaku.or.jp)。いずれも2026年8月24日確認(月額0円プラン・月額500円税別プラン・共有電話の録音→LINE転送・郵便はLINE通知で週1回まとめて転送)。協会年会費の扱いは確認できなかったため、契約前に必ず公式へ確認してください。
使わない理由・向かない人
- 住所が京都のため、東京の住所を名刺や表記に使いたい人には向きません。
- 年1回の士業支援という条件を「手間」と感じる人には向きません。相談する予定がないなら、条件のないサービスの方が素直です。
- 費用の支払いを止めると住所が使えなくなります。1年でやめる予定の人は、表記の書き換えの手間まで含めて考える必要があります。
確認しておくこと
- 共有電話(録音→LINE転送)を特商法表記の連絡先にできるか/専用番号の可否
- プランの違い(月額0円と月額500円)と協会年会費の扱い/士業支援そのものが有料かどうか
- 解約の条件と、解約後に住所が使えなくなるタイミング
レゾナンス
調べて分かったこと
- ネットショップ住所貸しプランが月550円、バーチャルオフィスコースが月990円です(2026年8月23日 公式確認。いずれも公式料金ページに税込/税別の明記がないため、税の扱いは公式で要確認=2026年8月27日確認)。
- 入会金が5,500円かかります。月額だけで比べると見落とす部分です。公式には「1年払いコース・郵便物週1回転送プラン選択時は入会金0円」というキャンペーン表示がありますが、住所貸しプランに適用されるかは書かれていないため、契約前に確認が必要です。
- 料金は支払い方法(一年払いなど)で変わります。月額の見た目だけでなく、どの支払い方法のときの金額かを確認する必要があります。
- 電話転送などのオプションを足すと、その分だけ1年総額が上がります。
出典:レゾナンス公式サイト(virtualoffice-resonance.jp)/2026年8月24日確認(月額550円・990円、特商法表記への記載可、拠点=東京10店舗・横浜・大阪梅田)。入会金5,500円は2026年8月23日確認。税区分は公式料金ページに明記がないことを2026年8月27日に確認(税の扱いは公式で要確認)。
使わない理由・向かない人
- 住所だけを借りたい場合も、通常時は入会金5,500円がかかります(2026年8月24日時点では入会金0円のキャンペーン表示あり。対象プラン・適用条件は公式で確認)。電話転送などのオプションを足すと、その分だけ1年総額が上がります。
- 一年払いを前提にすると、途中でやめたときの精算条件が重要になります。短期で試したい人には向かない場合があります。
確認しておくこと
- 初期費用の有無と金額/一年払い・月払いそれぞれの総額
- 電話転送の仕組みと料金
- 最低契約期間と中途解約の精算
GMOオフィスサポート
調べて分かったこと
- 転送なしプランが月660円です(2026年8月23日 公式確認。公式料金ページに税込/税別の明記がないため、税の扱いは公式で要確認=2026年8月27日確認)。住所だけ借りたい場合の入り口として分かりやすい料金です。
- 公式に「新規申し込み限定 初年度3ヶ月無料特典」のバナーがありますが、適用条件は書かれていません。無料期間があるかどうかで1年総額は変わるので、条件を確認してください。
- 公式に「料金の改定を予定しております」という記載があります(2026年8月23日時点)。ここに書いた金額も変わる可能性があります。
出典:GMOオフィスサポート公式サイト(gmo-office.com)/2026年8月24日確認(転送なしプラン 月660円)。税区分は公式料金ページの基本プランに明記がないことを2026年8月27日に確認(郵便物転送の料金表のみ「税込」表記あり。基本料金の税の扱いは公式で要確認)。
使わない理由・向かない人
- 無料特典の適用条件が分からないまま「安い」と判断すると、実際の総額とずれます。条件を確認してから比べてください。
- 電話番号まで必要な人は、プランを足したときの総額で他社と比べ直す必要があります。
確認しておくこと
- 初年度の割引特典の適用条件と初年度総額/料金改定の予定
- 特商法表記への掲載可否と、対応している拠点
- 解約条件
住所貸しを使わない理由・向かない人
最後に、住所貸しそのものが要らない場合を書いておきます。ここに当てはまるなら、契約しない方が素直です。
- 売る場所の仕組みで足りる人。販売プラットフォーム側に住所・電話番号の非公開や代替表示の仕組みがある場合、それで要件を満たせるなら費用をかける理由がありません。まずここを確認してください。
- まだ売るものが決まっていない人。住所は売り始めるときに必要になるものです。先に契約しても、月額だけが出ていきます。順番としては、売るもの・売る場所が決まってからで間に合います。
- 郵便物を頻繁に・すぐ受け取る必要がある人。借りた住所に届いた郵便は、転送のタイミングと実費が発生します。即日の受け取りが必要な事業には向きません。
- 対面の来客がある人。住所貸しは基本的に「住所を借りる」サービスです。打ち合わせ場所や実際のオフィスが必要なら、別のサービスの領域です。
- 法人登記や許認可が絡む人。業種によっては、借りた住所で登記・許認可が通るかの確認が先です。この記事の範囲を超えるため、専門家に確認してください。
まとめ — 確認する順番
- 売る場所(プラットフォーム)の住所・電話の扱いを確認する。足りるなら住所貸しは不要。
- 借りる場合は、特商法の表記に使えるかをサービス側に確認する。
- 電話番号が着信を受けられるか・転送の仕組みを確認する。
- 初期費用+月額×12の「1年総額」で比べる。初年度だけの料金には注意する。
- 解約条件と、やめたあとの表記の書き換えまで見ておく。
住所貸しは、契約しなくても済む場合があります。プラットフォーム側の仕組みや請求時開示のような別の方法で足りるなら、まずそちらを確認してから、必要な場合だけ契約を検討してください。